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積み立ては非課税のNISAが有利?特定口座でも代用FXを使えば逆転する条件を試算

NISAは値上がり益に税金がかからないので、同じ商品を同じ額だけ積み立てるなら、20年後に売ったときの手取りは特定口座よりもNISAのほうが多くなります。ただしこれは、特定口座の資産を持っているだけの場合です。
特定口座の株式・投資信託は、代用FXの担保にできます(NISA口座の資産は担保にできません)。担保にしてスワップ(2つの通貨の金利差から、毎日受け取れるお金)を受け取り、それを積み立てに回す場合、特定口座のほうが多く残ることがあります。
筆者(元税務署職員・FP2級)は、代用FXのスワップ利回りは年3%を超えると見ていて、為替が動かなければ、資産が増えるのは特定口座+代用FXだと考えています。この記事では、月5万円を20年積み立てる試算で、NISA・特定口座・特定口座+代用FXの3本を比べます。
取り崩すときの比較は、別の記事で試算しています。この記事はその前の段階、資産を積み立てている間の話です。
✅ この記事でわかること
- 月5万円を20年積み立てると、NISAと特定口座で手取りはいくら違うか
- 特定口座を代用FXの担保に使うと、何が変わるか
- スワップ利回りが何%なら、NISAより多く残るか
- この試算の前提と注意点
試算の前提
- 積立:毎年60万円(月5万円)を20年、積立元本は1,200万円。NISA口座と特定口座のどちらか一方だけで積み立てる
- 運用:無分配のインデックス投資信託で、年利回り4%
- 税率:特定口座の売却益・スワップとも20.315%(国内FXのスワップは申告分離課税で、源泉徴収はありません)
- 代用FXを使う場合のスワップ(税引前):その年の初めに積み立てた後の特定口座の評価額×年7%(1年目から。1年目は60万円×7%=4.2万円)。税金を引いた残りは、その年のうちに特定口座で買い増す
- 比べる数字:20年目の終わりに全部売ったときの、税引後の手取り
- 為替・株価は動かないものとする
月5万円は、NISAのつみたて投資枠(年120万円)の範囲内。
【年7%の試算条件】例えば担保1,000万円なら、証拠金として使える700万円(評価額の70%)に対してレバレッジ2倍でメキシコペソ/円を買い、2026年9月のスワップ(1万通貨あたり1日13円(DMM FX)、1ペソ約9.04円(9月16日))で計算した年約7.3%を、控えめに丸めた。積み立てて担保が増えれば、そのぶんポジションも大きくする前提。
※ 次の試算は、比べるための計算のモデルです。将来の受取額や税額を約束するものではありません。
NISAの資産は代用FXの担保にできない
代用FXは、証券会社に預けている株式や投資信託を担保にして、FXの証拠金に充てる方法です。担保にできるのは特定口座・一般口座の資産で、NISA口座で持っている株式・投資信託は、信用取引やFXの担保(代用有価証券)にできません。
そのため、同じ月5万円でも、NISAで積み立てた資産は持っているだけ、特定口座で積み立てた資産は担保としても使える、という違いが出ます。この記事で比べているのは、この違いです。
野村Webローンと代用FXのリターンの比較は次の記事で紹介しています。
特定口座の資産を担保にお金を借りる方法(野村Webローン)で、NISAを売って特定口座に移し、借りて買い増した場合の5年の試算は、こちらに書いています。
結果|20年後の手取りを3本で比べる
| 20年目末の評価額 | 全部売ったときの税金 | 税引後の手取り | |
|---|---|---|---|
| NISA | 1,858.2万円 | 0円 | 1,858.2万円 |
| 特定口座(代用FXなし) | 1,858.2万円 | 133.7万円 | 1,724.4万円 |
| 特定口座(代用FXあり) | 3,589.8万円 | 202.8万円 | 3,387.1万円 |

途中の年の手取り(その年の終わりに全部売った場合)
| 年 | NISA | 特定口座(代用FXなし) | 特定口座(代用FXあり) |
|---|---|---|---|
| 5年目 | 338.0万円 | 330.3万円 | 389.7万円 |
| 10年目 | 749.2万円 | 718.9万円 | 990.6万円 |
| 15年目 | 1,249.5万円 | 1,178.5万円 | 1,925.3万円 |
| 20年目 | 1,858.2万円 | 1,724.4万円 | 3,387.1万円 |
代用FXを使わなければ、NISAのほうが約134万円多い
代用FXを使わない場合、20年目の評価額はNISAも特定口座も1,858.2万円で同じです。違いは売ったときの税金だけで、特定口座は含み益658.2万円に20.315%がかかり、133.7万円を納めます。手取りは1,724.4万円になり、NISAより133.7万円少なくなります。
積み立てている間は売らないので、特定口座でも途中で税金はかかりません。差がつくのは最後に売るときの1回だけです。
NISAと特定口座で商品の利回りが違う場合に、特定口座で何%あればNISAと並ぶか(例:NISAで年4%なら、特定口座では約5%)は、こちらに書いています。
スワップ年7%なら、特定口座のほうが約1,529万円多い
特定口座を担保に使うと、1年目のスワップは4.2万円(税引後3.3万円)です。これを特定口座で買い増すと、翌年からは買い増した分も担保になり、受け取るスワップも増えます。20年目のスワップは229.3万円(税引後182.7万円)になりました。
20年間のスワップの手取りは合計1,391.8万円です。税金は、スワップに354.8万円、最後に売るときの売却益に202.8万円で、合計557.6万円です。代用FXを使わない場合(133.7万円)の4倍以上ですが、スワップの手取りがその差を上回ります。
結果として、20年後の手取りは3,387.1万円で、NISAより1,528.9万円多くなります。
スワップ利回りが何%なら逆転するか
スワップ利回りは、通貨ペアの金利差やレバレッジで変わり、毎日動きます。利回りを1〜7%に変えて同じ試算をしました(特定口座・代用FXあり)。
| スワップ利回り | 20年目末の評価額 | 税引後の手取り | NISAとの差 |
|---|---|---|---|
| 1% | 2,035.0万円 | 1,893.6万円 | +35.4万円 |
| 2% | 2,231.3万円 | 2,081.5万円 | +223.3万円 |
| 3% | 2,449.2万円 | 2,290.3万円 | +432.2万円 |
| 4% | 2,691.1万円 | 2,522.5万円 | +664.4万円 |
| 5% | 2,959.8万円 | 2,780.7万円 | +922.5万円 |
| 6% | 3,258.2万円 | 3,067.8万円 | +1,209.6万円 |
| 7% | 3,589.8万円 | 3,387.1万円 | +1,528.9万円 |
| (参考)NISA | 1,858.2万円 | 1,858.2万円 | — |

20年後の手取りがNISAと並ぶのは、スワップ利回りが約0.8%のときです。これを超えると、特定口座を担保に使うほうが多く残ります。
スワップ利回りとレバレッジ
スワップ利回りは、通貨ペアの金利差のほか、どれだけの大きさのポジションを持つかでも変わります。試算の前提と同じペソ円のスワップ(1万通貨あたり1日13円、1ペソ約9.04円(2026年9月16日))で計算すると、建てたポジションの金額に対して年約5.2%です。
株式評価額の70%の証拠金に対して、レバレッジ1倍(担保の評価額の0.7倍のポジション)で持つと、担保に対して年約3.7%になります。これを基準にすると、次のようになります。
- 年7%(この試算):レバレッジ約1.9倍(2倍なら年約7.3%で、試算ではこれを7%に丸めています)
- 年3%:レバレッジ約0.8倍
- 年0.8%(NISAと並ぶ分かれ目):レバレッジ約0.2倍
レバレッジ2倍のまま、分かれ目の0.8%まで下がるのは、スワップが1日約1.4円、今の約9分の1になったときです。
株式や投資信託だけで運用してきた方には、なじみの薄い話だと思います。自分の資産に当てはめて整理したい方は、ココナラで30分の壁打ち(3,000円)を受け付けています。何を買うか、どれだけ持つかをお勧めするものではなく、仕組みと考え方を一緒に整理するサービスです。
筆者の判断|スワップは3%を超えると見ている
筆者は、代用FXのスワップ利回りは3%を超えると見ています。分かれ目の0.8%までは距離があるので、為替が動かなければ、特定口座で担保に使うほうがNISAより多く残ると考えています。
筆者自身は、NISAはつみたて投資枠での積み立てだけにしていて、成長投資枠は使っていません。買い増しは、すべて特定口座です。
それでもNISAを続けているのは、為替は何が起こるか分からないからです。NISAの1,858.2万円は、為替やロスカットのリスクを負わずに得られる数字です。すべてを特定口座にベットするのではなく、NISAのつみたて投資枠だけは続けておこうと考えています。
注意点|為替と株価が動かない前提の試算
この試算では、為替も株価も動かない前提です。実際には次のことが起きます。
- メキシコペソ/円が下がると、FXのポジションに評価損が出ます。スワップで受け取った額より大きい損失になることもあります
- 担保にしている株式・投資信託が下がると、担保の評価額が減り、証拠金維持率が下がります。株価と為替が同時に下がると、ロスカットで損失が確定することがあります
- スワップの額は毎日変わり、保証されていません。金利差が縮めば、利回りは下がります
積み立てで担保が増えるほど、ポジションも大きくなります。この試算の20年目は、担保の評価額が約3,300万円、ポジションは約4,600万円分(担保の約1.4倍)です。同じ割合の値下がりでも、損失の金額は大きくなります。
税金の面では、特定口座の値上がり益は売るまで課税されませんが、スワップは受け取った年ごとに課税され、原則として確定申告が必要です。
代用FXの仕組みと、株価・為替が下がったときに証拠金維持率がどう動くかは、こちらに書いています。
代用FXそのものを初めて知った方は、まとめ記事から読むと全体がつかめます。
取り崩しに入ったら
この記事の比べ方は、20年目の終わりに全部売る場合です。取り崩しに入ってからは、一度に売らずに、生活費の分だけ売っていくこともできます。1,000万円を年120万円ずつ取り崩す場合に、NISA・特定口座・特定口座+代用FXで何年持つか(スワップの分かれ目は約2.4%)と、ペソ円の金利差がどう推移してきたか(2024年末は9.75%、2026年9月は5.25%)は、こちらに書いています。
まとめ
- 月5万円を20年積み立てる試算で、代用FXを使わなければ、NISAの手取りが1,858.2万円、特定口座が1,724.4万円。差の133.7万円は、最後に売ったときの税金
- NISAの資産は代用FXの担保にできず、特定口座の資産は担保にできる
- 特定口座を担保に使い、スワップ年7%とすると、20年後の手取りは3,387.1万円
- スワップ利回りが約0.8%を超えると、特定口座+代用FXのほうがNISAより多く残る。取り崩しの分かれ目(約2.4%)より低い
- 筆者はスワップ利回りは3%を超えると見ているが、この試算は為替・株価が動かない前提。下がったときの評価損とロスカットは別に考える

