完全ガイド
代用FXの始め方|株・投信を担保に少額で始める手順と、維持率の計算例

代用FXは、保有している株や投資信託を担保にして、FXの取引ができる仕組みです。仕組みやメリット、リスクの全体像は、次の記事にまとめています。
この記事は、始めると決めた方に向けて、始める順番と、実質レバレッジ・証拠金維持率の計算を整理します。計算は、仮定の数字で、電卓があれば自分で確かめられるようにしました。
証拠金は、FXの取引をするときに、担保として預けておくお金です。スワップは、2つの通貨の金利差から受け取れるお金です。
私は元税務署職員・FP2級で、保有している株式・ETFを担保に、代用FXでスワップを受け取る運用をしています。この記事では、株・投資信託を土台に、FXはその上に足すもの、という位置づけで説明します。
手順1|代用FXができる会社を決める
代用有価証券FXに対応しているのは、SBI FX(SBI証券)、三菱UFJ eスマート証券FX、DMM FX(DMM.com証券)の3社です。担保にできるもの、現金の要否、取引の最小単位、スワップなどが会社によって違うので、先に比較記事の表で確かめます。
手順2|担保にする株・投信を整理する
担保にする株・投資信託は、次の2点で決めます。
- 中長期で持ちたい銘柄を選ぶ。
- 生活費や、近いうちに使う予定の資金は、担保にしない。
値動きの大きいテーマ株や、流動性の低い銘柄は、担保の評価額が動きやすく、維持率の管理が難しくなります。インデックス連動の商品や、分散されたETFのほうが管理しやすくなります。担保にできる銘柄の例と、できない銘柄の例は、次の記事に書いています。
手順3|株・投信を代用設定する
代用設定は、保有している株・投信を、FXの証拠金として使えるように、会社に届け出る操作です。流れは、次の4つです。
- 代用FXに対応した会社の口座で、担保にしたい株・投信を保有する(購入するか、他社から移管する)。
- マイページの「代用設定」などのメニューで、担保にする銘柄と数量を選んで実行する。
- 評価額の70%が、FXの証拠金として反映されているか確認する。
- 反映を確認したら、FXの取引ができる。

NISAやiDeCoの口座にある株・投信は、代用にできません。特定口座などで持っているものを使います。他社で持っている株を、売らずに移す手順は、次の記事に書いています。
手順4|維持率とレバレッジを、仮定の数字で計算する
発注の前に、次の2つの数字を計算できるようにします。先に、計算に出てくる用語です。
- 想定元本:その取引の金額。ドル円を150円で1万通貨買うなら、150円 × 1万通貨 = 150万円です。
- 有効証拠金:今使える証拠金の合計。現金 + 株式評価額 × 70% ± FXの含み損益(まだ決済していない損益)です。
- 必要証拠金:その取引を持つために、最低限預けておく必要がある金額です。会社・通貨ペア・レートによって変わります。国内のFXはレバレッジの上限が25倍なので、必要証拠金は想定元本の4%以上です。
2つの数字は、次のとおりです。
- 実質レバレッジ:自分の資金の何倍の金額を取引しているか。想定元本 ÷ 有効証拠金で求めます。
- 証拠金維持率:預けている証拠金に、どのくらい余裕があるか。有効証拠金 ÷ 必要証拠金 × 100 で求めます。
維持率が高いほど余裕があり、下がるほど、追加の入金や強制決済に近づきます。

仮定の数字で計算する
計算は、次の仮定で行います。
- 担保にする株の評価額:200万円(有効証拠金は200万円 × 70% = 140万円)
- 現金:0円。FXの含み損益:0円(まだ損益が出ていない状態)
- ドル円のレート:150円
- 必要証拠金:想定元本の4%(会社が定める実際の金額は、取引画面で確認する)
この計算は、担保の株だけで証拠金が足りる場合の例です。損失が出たときに現金が必要になるかどうかは、会社によって違います。SBI FXは、含み損の段階でも現金が必要です。三菱UFJ eスマート証券FXは、含み損は担保で足りますが、損失が確定したときは現金が必要です。
ドル円を1万通貨(1万ドル)買うと、想定元本は150万円(150円 × 1万通貨)、必要証拠金は6万円(150万円 × 4%)です。1万通貨・5万通貨・10万通貨を買った場合を並べます。
| 買う数量 | 想定元本 | 実質レバレッジ | 必要証拠金 | 維持率 |
|---|---|---|---|---|
| 1万通貨 | 150万円 | 約1.07倍 | 6万円 | 約2,333% |
| 5万通貨 | 750万円 | 約5.36倍 | 30万円 | 約467% |
| 10万通貨 | 1,500万円 | 約10.7倍 | 60万円 | 約233% |
同じ担保でも、数量が増えるほど、実質レバレッジが上がり、維持率が下がります。
次に、為替は動かず、担保にした株だけが20%下がったとします。株の評価額は160万円(200万円 × 80%)、有効証拠金は112万円(160万円 × 70%)になります。
| 買う数量 | 必要証拠金 | 維持率(株の下落前) | 維持率(株が20%下落後) |
|---|---|---|---|
| 1万通貨 | 6万円 | 約2,333% | 約1,867% |
| 5万通貨 | 30万円 | 約467% | 約373% |
| 10万通貨 | 60万円 | 約233% | 約187% |
為替が動いていなくても、株が下がるだけで維持率は下がります。ここに円高(ドル円が下がる)による含み損が重なると、有効証拠金からさらに引かれます。ドル円は、1円動くと、1万通貨で1万円の損益です。
何倍までにするかは、人によって違います。多額の資金を低いレバレッジで運用するか、少額でレバレッジを高くするかで、合う倍率は変わります。私は、多額の資金を低いレバレッジで運用しています。
株式や投資信託だけで運用してきた方には、なじみの薄い話だと思います。自分の資産に当てはめて整理したい方は、ココナラで30分の壁打ち(3,000円)を受け付けています。何を買うか、どれだけ持つかをお勧めするものではなく、仕組みと考え方を一緒に整理するサービスです。
維持率の下限と、ロスカット
維持率が100%を下回ると、追加の入金(追証)が必要になります(DMM FX・三菱UFJ eスマート証券FXの場合)。さらに下がると、持っている取引が強制的に決済されます(ロスカット)。損失がこれ以上広がらないようにする仕組みですが、損失は確定します。水準は会社によって違い、2026年9月時点で、DMM FXは50%、三菱UFJ eスマート証券FXは個人で75%です。
また、担保の株が売却される条件も、会社によって違います。たとえばDMM FXでは、損失が現金と担保の評価額を超え、期限までに入金できない場合に、担保の株がすべて売却されます。
発注の前に、「維持率が○%を下回ったら、ポジションを減らす、または入金する」を決めておく方法があります。ロスカット間近で判断すると、時間の余裕がほとんど残りません。会社ごとの追証・ロスカットの条件は、次の記事に書いています。
株価が下がったときのシミュレーションや、ストレステストの考え方は、次の記事にあります。
手順5|最初の1ポジションを建てる
最初のポジションは、利益ではなく、次の3つを確かめる目的で建ててみましょう。
- 取引画面の操作に慣れる。
- 損益がどのくらい動くかの感覚をつかむ。
- 維持率が、取引の数量や為替の動きでどう変わるかを見る。
この目的で取引できる最小の数量から始めてみます。最小の数量は会社によって違い、100通貨・1,000通貨・1万通貨などです。上の表のとおり、数量を増やすと維持率は大きく下がるので、数量を増やすかどうかは、維持率を見て決めます。
発注の流れは、次のとおりです。
- 取引する通貨ペア(ドル円など、交換する2つの通貨の組み合わせ)を選ぶ。
- 数量を入力する(最小の数量から)。
- 成行注文(今の価格ですぐ取引する)か、指値注文(指定した価格になったら取引する)を選ぶ。
- 注文を実行する。
- 約定(取引が成立すること)を確認し、維持率を見る。
通貨ペアは、ドル円のように情報が多く値動きの癖をつかみやすいものや、スワップ(2つの通貨の金利差から受け取れるお金)を狙う高金利通貨などから始めるのがおススメです。
手順6|続けるうえで見直す点
運用を続けると、含み損益(まだ決済していない損益)や維持率の動きが気になる場面が出ます。次の点を、定期的に見直します。
- 実質レバレッジは、自分で決めた範囲に収まっているか。
- 数量を減らしたほうが管理しやすくないか。
- 取引の回数が増えすぎていないか。
- 担保にしている株・投信の比率は、今のままでよいか。
よくある質問
まとめ
- 始める順番は、会社を決める → 担保を整理する → 代用設定をする → 維持率とレバレッジを計算する → 最初の1ポジション。
- 実質レバレッジと維持率は、仮定の数字で自分で計算できる。数量が増えるほど、維持率は下がる。
- 株が下がるだけでも、維持率は下がる。
FXの用語に不安がある方は、仕組みと主要な用語を、次の記事で確かめてから始めましょう。

