インデックス投資は「長期・積立・分散・放置」でよい——。
そう言われる一方で、投資を続けていると次のような不安が頭をよぎったことはないでしょうか。
- このまま本当に放置で大丈夫?
- 株式が増えすぎてリスクが高くなっていない?
- 暴落が来たら何もできずに耐えるしかない?
- NISA口座で売ったり買ったりしていいの?(枠がもったいない?)
結論から言えば、インデックス投資は「基本は放置」でOKです。
ただし、完全放置ではリスクが静かにズレていくのも事実。
放置=何もしない、ではなく、必要最低限のメンテナンス(リバランス)だけするのが現実的です。
この記事では、
- リバランスの本当の目的(=リスク管理)
- 初心者〜中級者が現実的に採用すべきルール
- 税金・NISAを踏まえた失敗しない考え方
をなるべく迷わない形で整理します。
この記事のゴールは、
自分に合ったリバランスの頻度とやり方を決められること。
※ 後半では、現金比率やFXを使った調整といった一歩進んだ選択肢にも触れますが、まずは「考え方」を理解するだけで十分です。
リバランスとは?なぜ必要なのか
リバランスの定義(比率を元に戻す作業)

リバランスって結局「上がったら売る」ってこと?タイミングむずくない?
リバランスとは、当初決めた資産配分に戻す作業のことです。
「上がった/下がった」の予想ではなく、
ズレた比率を元に戻すだけのため、タイミング当ては不要です。
例えば、
- 現金50%・株式50%
でスタートしたポートフォリオが、株価上昇によって - 現金40%・株式60%
になっていた場合、一部の株式を売却して現金を増やし、
再び50:50に戻します。
つまり、リバランスは、自分の運用設計図に戻すための整備作業です。
※ そもそも「自分に合う資産配分(設計図)」がまだ曖昧な場合は、先にこちらで整理しておくと迷いません。
→ インデックス投資における資産配分最適化|長期運用の成否はここで決まる
目的はリターン最大化ではなくリスク管理



リバランスってやるとリターンが良くなるの?
リバランスの目的は、リターンを最大化することではありません。
リスクを想定内に保つことです。
リターン向上(後述のリバランスボーナス)は副産物として期待する、
くらいがちょうどいいです。
本質は、
ポートフォリオのリスクを、自分が許容できる範囲に保ち続けること
にあります。
株式市場が好調な局面では、何もしないだけで株式比率は自然と高まります。
気づかないうちに
「想定以上にリスクを取っている状態」
になってしまうのが、長期投資の怖いところです。
例えば、当初は「株式60:債券40」だったのに、
気づけば「株式80:債券20」になっていた。
これはもはや別人のポートフォリオです。
(リスク許容度が高い人の設計図に変わっている)
リバランスボーナスという副次効果
リバランスには、「リバランスボーナス」と呼ばれる副次的な効果もあります。
これは、
- 上がりすぎた資産を売り
- 下がった資産を買う
という行動を機械的に繰り返すことで、
結果的に「高値売り・安値買い」になりやすい。
という考え方です。
また、一般的に人は、
- 上がっていると「まだ上がる」と思い
- 下がっていると「怖くて買えない」
という感情に支配されがちです。
リバランスは、あらかじめ決めたルールに従って 淡々と売買を行う仕組みです。
だからこそ、
- 欲(もっと伸ばしたい)
- 恐怖(今買うのは怖い)
- 後悔(ここで売ったら上がるかも)
といった感情を排除し、長期投資を続けやすくしてくれます。
このことから、リバランスは「精神論」ではなく、仕組みで自分を守る方法と言えます。
リバランスのタイミング戦略



リバランスはいつやるのが正解?年1回?それとも暴落のとき?
“正解”は一つではありません。
でも投資初心者なら 年1回で十分。
慣れてきたら「年1回+大きくズレたら臨時」が現実的です。
大事なのは、相場でルールを変えないことです。
まず全体像(定期/乖離/併用の比較)
| 方法 | 内容 | 向いてる人 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|---|
| 定期(時間ベース) | 年1回・半年など日程で実施 | 忙しい人/初心者 | 迷わない・続く | 急変時に偏りが残る |
| 乖離率(閾値ベース) | ±5%などズレたら実施 | 管理できる人/中級者 | 必要なときだけ動ける | チェックが必要・回数が読めない |
| 併用(定期+乖離) | 年1回+大きなズレは臨時 | 多くの人に最適 | 安心感と機動力の両立 | ルールが少し増える |
定期リバランス(年1回・半年)
定期リバランスとは、あらかじめ決めた周期で見直す方法です。
- 年1回
- 半年に1回
などが一般的です。
- メリット
- ルールがシンプルで、迷いが減る
- 予定に組み込みやすく、忘れにくい
- 相場の情報に振り回されにくい
- デメリット
- 相場急変時の対応が遅れる
- 放置期間中にリスクが偏る可能性
こまめにやるほど“安心”は増えますが、
同時に 手間・売買・税金(課税口座の場合) も増えがちです。
また、頻繁に行うほど成長を取りこぼしてしまうという問題も発生します。
乖離率リバランス(±5%など)
乖離率リバランスは、目標比率から一定以上ズレたときだけ調整する方法です。(例:株式比率が目標から±5%ズレたら実行など)
- メリット
- 無駄な売買が減り、コストと税金を抑えやすい
- リスクが膨らんだタイミングで対応できる
- デメリット
- 定期的なチェックが必要
- 売買タイミングが読みにくい(相場が荒れると回数が増える)
価格変動の大きい資産(株式比率が高い、テーマ型、海外比率が高い等)を含む場合は、定期型より合理的なケースもあります。
また、乖離したから必ず売買、と決める必要はありません。
例えば、「±5%になったらチェックして、基本は積立配分で戻す」でも立派な戦略です。
併用型(定期+乖離/イベントドリブン)
一番おすすめなのが、定期+乖離率を組み合わせる方法です。
- 年1回は必ず点検(定期)
- それ以外でも大きくズレたら調整(乖離)
さらに、
- 結婚
- 出産
- 退職
- 住宅購入
といったライフイベント時には、比率そのものを見直すことも重要です。
(この場合は「リバランス」ではなく「設計変更」なので、目的が違います)
税金・コストを踏まえたリバランス実践
リバランスは非常に大事ですが、税金や取引手数料などのコストを忘れてはいけません。
「売る前提」ではなく「売らない工夫(ノーセル)」も抑えておきましょう。
まず押さえる:口座別の違い(ざっくり表)
| 口座 | 売却益に税金 | 損益通算 | NISA枠の扱い | リバランスの基本方針 |
|---|---|---|---|---|
| 課税口座(特定・一般) | かかる(約20%) | できる | なし | 必要なら売買して調整弁にする |
| NISA | かからない | できない | その年は復活しない/翌年以降元本分が復活 | できるだけ売らずノーセル中心 |
迷ったら:NISAは育てる箱、課税口座は調整する箱。
課税口座での注意点(約20%課税)
課税口座(特定口座・一般口座)でリバランスを行う場合、売却益には約20%の税金がかかります。
頻繁に売買すると、
- 税金(利益に対して)
- 売買手数料(発生する場合)
- 信託財産留保額(投信によっては)
によって、リバランスの効果が削がれてしまうこともあります。
そのため、課税口座では
「必要以上に売らない」(特に利益が出ているとき)
「売るなら“目的(=リスク調整)”を明確にする」
という意識が重要です。
かと言って、NISA口座での頻繁な売買にも落とし穴があります。
新NISAにおけるリバランスの落とし穴
NISA口座での売買益が非課税なのはメリット。しかし、NISAは枠の扱いと損失が税務上なかったことになるという特徴があります。
- 売却しても、その年中は非課税枠が復活しない
- 復活する枠は「売却時評価額」ではなく「元本ベース」
- 損失が出ても損益通算・繰越控除ができない
つまり、NISAでの売却は非課税メリットを一部失う行為でもあります。
このため、NISA口座においても、リバランス目的の売却は慎重に行う必要があります。
ノーセル・リバランスという考え方(最も現実的)
そこで現実的な方法がノーセル・リバランスです。
特にNISA民には、このやり方が最適解になりやすいです。
具体的には、
- 売却はせず
- 追加資金や積立で不足資産を買い増す
ことで比率を整えていきます。
積立投資を続けている人であれば、積立先を一時的に偏らせるだけでも自然とリバランス効果が生まれます。
| 状態 | 株式 | 債券/現金 | やること |
|---|---|---|---|
| 目標 | 60% | 40% | いつもの積立 |
| 株高後 | 70% | 30% | 積立を債券/現金側に寄せる |
| 数ヶ月後 | 62% | 38% | 目標に近づいたら元に戻す |
税金・コストを抑えつつ、長期投資と相性の良い方法と言えるでしょう。
発展① 現金比率をどう考えるか
現金は「保険」か「機会損失」か
現金はリターンを生まない一方、暴落時の行動余力を与えてくれます。
どこまで現金を持つかは、リスク許容度とのバランスです。
インデックス投資家にとっての現金の価値は、
「増やすため」よりも
「パニックを避けるため」
にあります。
暴落時に機能する現金ポジション
株高時に一部利益確定して現金を増やすことで、
次の下落局面で冷静に買い向かうことができます。
現金があると、暴落時に
- 何もしない(耐える)
- 少し買い増す(攻める)
の両方を選べます。
この「選択肢」が、メンタル面でも強い味方になります。
ライフステージ別の現金比率
- 若い世代:現金少なめ・リスク高め(積立継続が武器)
- 子育て期:生活防衛資金を厚めに(急な支出に備える)
- 引退前後:現金多め・リスク控えめ(取り崩しの安定性)
人生のフェーズに応じて比率を変えるのも、立派なリバランスです。
発展② FXを短期調整・ヘッジに使うという選択肢
※ 全員向けではありません。インデックス投資の基本(積立・リバランス)が腹落ちしてから読めばOKです。
FX=投機ではなく調整ツールという視点
FXは使い方次第で、為替リスクの調整手段になります。
ここで言うFXは、
「当てにいく短期売買」ではなく
ポートフォリオ全体の揺れを抑えるための補助輪という位置づけです。
為替ヘッジとしての使い方
外貨建て資産が多い場合、FXで為替変動を部分的に相殺することも可能です。
例えば、円高で外貨資産が目減りしそうな局面で
- ドル円を売る(円高方向のヘッジ)
といった形で「為替の振れ」を緩和する考え方です。
※ ただし、ヘッジは万能ではありません。金利差(スワップ)や相場変動による損失リスクもあるため、使う場合は「小さく・短く・目的を明確に」が鉄則です。
株式担保FX(代用FX)との接続
株式を売らずにFXで調整できる仕組みは、資金効率と柔軟性を高めます。
- 株を売らない(税金・NISAの枠を守る)
- 必要なときだけ短期で調整する
という発想と相性がいいからです。
代用FXの詳細・注意点は【上級】代用FX 利益最大化戦略のカテゴリーで紹介しています。
興味ある方だけご覧ください。
まとめ|リバランスは投資のメンテナンス
リバランスは、リターンを追い求めるためのテクニックではなく、投資を続けるためのメンテナンスです。
- 放置は正しい。ただし比率はズレるので、年1回だけ点検する
- できるだけ売らず、まずは積立配分(ノーセル)で整える
- 慣れてきたら「年1回+大きなズレだけ臨時点検」で十分
この考え方が身につけば、
「放置が正しいのか不安」
という状態から
「放置しつつ、必要なら整備できる」
という安心感に変わります。
そして次のステップとして、
現金比率や、必要に応じた為替ヘッジなど
より高度なリスク調整にも自然と進めるでしょう。


