インデックス投資で迷いが出やすいのは、
「結局、自分は株を何%にすべき?」という点です。
本記事では次の3つができるようになることを目的としています。
- 自分にとっての適正な株式・債券・現金比率を、根拠付きで説明できる
- 「株式100%」「債券ゼロ」「現金過多」などの典型的な偏りに、自分で気づける
- 配分を変えるときに、どこから手を付けるべきかが分かる
この記事を読んで、ぜひ自分に合った適正な株式・債券・現金比率を把握し、インデックス投資を気持ちの面でも楽にしていきましょう。
なぜインデックス投資では「資産配分」が最重要なのか
資産配分の重要性

インデックス投資って“オルカン買って放置”でいいんじゃないの? 資産配分ってそんなに重要?
インデックス投資では、どの銘柄を選ぶかよりも、
どの資産クラスに、どれだけ配分するかが運用成果の大半を左右します。
数多くの研究で、長期運用のリターン変動の大部分(よく「約8〜9割」と表現される)は「アセットアロケーション(資産配分)」で説明できると報告されています。
インデックス投資は市場平均を取りに行く投資手法です。
アルファ(超過収益)を狙わない以上、
- タイミングを当てる
- 銘柄を当てる
といった要素は本質ではありません。
唯一コントロールできる変数が「資産配分」です。
逆に言えば、配分を間違えると、
- 暴落に耐えられず、底で売ってしまう
- リターン不足で、目標金額に届かない
- ずっと不安で、投資が続かない
という失敗につながります。
まず押さえる大前提:生活防衛資金は「配分」ではない
資産配分を考えるときに混同しがちなのが、現金の位置づけです。
- 生活防衛資金(生活費数ヶ月〜1年分):投資に回さない「生活の安全装置」
- 投資ポートフォリオ内の現金:比率を調整するための「戦略的キャッシュ」
この2つは別物として考えましょう。
本記事では、生活防衛資金を確保した上で、
「投資に回す資金」をどう配分するかを扱います。
年齢・リスク許容度別に考える基本の資産配分
「100−年齢」ルールはなぜ使われるのか



“100−年齢”とか“110−年齢”ってよく聞くけど、これって本当に当てにしていいの?
資産配分の目安としてよく紹介されるのが、
- 100 − 年齢 = 株式比率
- 110 − 年齢 = 株式比率
という経験則です。
これは、
- 若いほど回復までの時間がある
- 年齢が上がるほど大きな下落が致命傷になる
という時間リスクを考慮した考え方です。
近年は寿命の延びを踏まえ、
より積極的な「110−年齢」が用いられることも増えています。
ただし重要なのは、
これらは絶対的な正解ではなく、あくまで起点となる目安だという点です。
目安「100−年齢」をベースに、あなたの「リスク許容度」と「目的」に合わせて微調整する。
これが資産配分の基本姿勢です。
同じ年齢でも配分が変わる理由
年齢が同じでも、最適な資産配分は人によって異なります。理由は主に3つです。
- リスク許容度(心理的耐性)
- 家計・収入の安定性(リスク容量)
- 今後10〜20年のライフイベント(教育費・住宅・転職など)
特に重要なのは、
暴落時に「耐えられるかどうか」です。
過去、世界株式は最大で50%超の下落を経験しています。
その局面で、
- 積立を継続できるか
- 売却せずにいられるか
- 追加投資の余力があるか
ここを冷静に想像し、
机上の最適解ではなく、行動できる配分を選ぶ必要があります。
ポイント
1分セルフ診断:あなたはどの型?
- 30%下落で眠れなくなる → 保守型寄り
- 30%下落でも積立は続けられる → バランス型
- 50%下落でも「買い増しチャンス」と思える → 積極型
もちろん、これは極端な例です。
ただ、配分設計は「気合い」ではなく、
下落に対する現実的な耐性で決めましょう。
もう一段踏み込む:リスク許容度別の「3つの型」



保守型・バランス型・積極型…って言われても、どれが自分に合うか分からない! 何で判断すればいいんよ!?
ここでは、先ほどの3つの型について、ポートフォリオ全体としてのリスク・リターン特性も併せて見てみましょう。
(株式=世界株式、債券=世界債券、現金=短期資産を想定)
| 型 | 配分例(株:債:現) | 期待リターン(年率) | リスク(標準偏差) | 想定最大下落(MDD目安) |
|---|---|---|---|---|
| 保守型 | 30:60:10 | 約3〜4% | 約6〜7% | ▲15%前後 |
| バランス型 | 60:35:5 | 約5〜6% | 約9〜11% | ▲30%前後 |
| 積極型 | 80:15:5 | 約6.5〜7.5% | 約12〜13% | ▲40〜45% |
- MDD(最大ドローダウン)は過去データから見た目安であり、将来を保証するものではありません。
- 期待リターン・リスクは、世界株式=MSCI ACWI(または同等の全世界株式指数)、世界債券=Bloomberg Global Aggregate(または同等の世界債券指数)、短期資産=短期金利を想定した概算です。
数値を見ると分かる通り、
- リターンを1〜2%高めるために
- 下落耐性を10〜15%分、余分に背負う
というトレードオフが存在します。
年齢だけでなく、「どこまでの下落に耐えられるか」で配分は変わります。
どういった人がどんな方に合うかまとめておきます。
| 型 | 目安(株式:債券:現金) | こんな人に向く |
|---|---|---|
| 保守型 | 30:60:10 | 元本のブレが怖い/投資歴が浅い |
| バランス型 | 60:35:5 | 迷ったらこれ。多くの人の落とし所 |
| 積極型 | 80:15:5 | 下落を許容できる/資産形成スピード重視 |
- 「現金」は投資ポートフォリオ内の目安です(生活防衛資金とは別)。
株式・債券・現金の役割を正しく理解する



株・債券・現金って、結局それぞれ何のために持つの?
“なんとなく分散”じゃダメ?
ここでは感覚論ではなく、数値ベースで各資産クラスの特徴を確認します。
以下は、過去10年以上のグローバル指数(世界株式・世界債券・短期資産)を用いた代表的なリスク・リターンの目安です。
| 資産クラス | 年率平均リターン | リスク(年率標準偏差) | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 株式(世界株式) | 約8〜9% | 約15〜16% | 高成長・高変動。最大ドローダウンが深い |
| 債券(世界債券) | 約2〜3% | 約5〜6% | 低成長・低変動。株式のクッション |
| 現金(短期資産) | 0〜1%程度 | ほぼ0% | 安定だがインフレに弱い |
- 指数例:MSCI ACWI、Bloomberg Global Aggregate など。あくまで長期実績の目安です。
- 株式×債券の組み合わせによる投資比率別のリスク・リターン:三井住友DSアセットマネジメント資料(Bloombergデータを基に同社作成、月次データを年率換算)
資産配分で失敗する人の多くは、
「それぞれの資産が、ポートフォリオで何を担っているか」を曖昧にしています。
各資産の役割を理解しておくことで配分は決めやすくなります。
株式:長期リターンのエンジン
株式(世界株式)の特徴を数値で確認してみます。
- 年率平均リターン:約8〜9%
- リスク(標準偏差):約15〜16%
- 最大下落率(過去):▲50%超
株式は長期でインフレを上回る成長が期待できる一方、
その代償として、短期的には非常に大きな価格変動を伴います。
また、株式の怖さは「損すること」だけではありません。
下落局面で意思決定を狂わせやすい点が最大の問題です。
- 含み損が膨らむと、積立を止めたくなる
- さらに悪化すると、底付近で売りたくなる
つまり、株式はリターンの源泉であると同時に、最大のストレス要因です。
だからこそ、株式比率は「最大化」ではなく、継続可能な範囲で最適化する必要があります。
債券:暴落時のクッション
債券は、株式と比較すると
- 年率平均リターン:約2〜3%
- リスク(標準偏差):約5〜6%
と、リターンは控えめですが、価格変動も小さい資産です。
債券は、株式と比較して
- 値動きが小さい
- 株式と異なる値動きをすることが多い
という特徴があります。
これにより、
株式が大きく下落する局面でも
ポートフォリオ全体の下落を緩和する効果が期待できます。
債券は「儲けるため」ではなく、
守るために組み入れる資産です。
さらに実務では、債券の価値はリターン以上に
- 下落局面で投資を続けるメンタル
- 取り崩し期の安定感
に効いてきます。
現金:安全だが、持ちすぎもリスク
現金・預貯金は
- 年率平均リターン:0〜1%程度
- リスク(価格変動):ほぼ0%
という特徴を持ちます。
現金は元本割れしません。
流動性も高く、精神的な安心感があります。
しかし、
- インフレに極端に弱い
- 長期的な成長が見込めない
という欠点があります。
特に重要なのは、
生活防衛資金と投資用現金を分けて考えること。
- 生活防衛資金:安心の土台(まず確保)
- 投資用現金:比率調整や下落時の追加投資のための余白
「現金が多い=安全」ではありません。
長期では、現金過多はむしろ
“目標未達リスク”を高めることにもなることに留意しましょう。
インデックス投資家に多い資産配分の失敗例
ここからは、実際に多い偏りパターンを3つ紹介します。
「自分のことかも…」と思ったら、それが改善のスタートです。
株式100%ポートフォリオの落とし穴



若いうちは株100%が最適って聞くけど…
本当にそれでいいの? 何か危ない?
株式100%は、理論上は高リターンを狙える配分です。そして、若い人ほど「回復までの時間がある」ため、理論上は成立します。
しかし実務では、
- 暴落時に売ってしまう
- 積立を止めてしまう
という行動リスクが跳ね上がります。
さらに年齢が上がるほど、
回復を待つ時間がなくなり、
一度の暴落が致命傷になります。
株式100%が問題なのではなく、「株式100%を保ったまま、投資を続けられるか」が問題。
債券ゼロは「分散放棄」



債券ってリターン低いし、持つ意味ある? ぶっちゃけ邪魔じゃない?
債券は、ポートフォリオ全体の振れ幅を抑え、
結果的に投資を継続しやすくします。
続けられない高リターンより、続けられる中リターン
実務的には、債券比率が少しあるだけで
- 暴落時の精神的負担が減る
- 取り崩し期の不安が軽くなる
という“体感メリット”が大きいことも知っておくと良いです。
現金比率が高すぎる日本型ポートフォリオ
日本の家計は、資産の半分以上を現金で保有していると言われます。
現金は安心ですが、長期で見ると
- インフレ負け
- 機会損失
という見えにくいリスクを抱えます。
「減らない安心」と引き換えに、
「増えない現実」を選んでいないか。
ここは一度、数字で点検してみる価値があります。
資産配分を見直すための実践的ステップ



配分を見直したいけど、何からやればいいん?
いきなり売買していいの?
資産配分の見直しは、いきなり売買から入ると失敗しがちです。
次のステップでいきましょう。
総資産で配分を見る
まずは“口座別”ではなく“総資産”で確認しましょう。
- 証券口座(投信・ETF)
- 預貯金
- (必要なら)確定拠出年金や保険
合算して初めて、あなたの真の配分が分かります。
目標配分を決める
次に、投資期間・心理耐性・目的から「目標配分」を定めます。
迷ったら、先ほどの3つの型から選んでOKです。
- 保守型:守りの安定
- バランス型:迷ったらコレ
- 積極型:成長重視
一度に直そうとしない
配分を修正するときは、
一発で理想形にする必要はありません。
- 新規資金(積立)の配分を変える
- ボーナス等のまとまった資金で調整する
こうした方法なら、心理的負担が小さく、失敗しにくいです。
※具体的なリバランス手法(定期/乖離、税金・コスト、NISA注意点など)は次の記事で詳しく解説しています。
▶インデックス投資のリバランス戦略についてはこちら
まとめ|資産配分は地味だが、最重要
インデックス投資の成否は、
- 銘柄選びでも
- 相場予測でもなく
実は資産配分の設計と維持で決まります。
派手さはありませんが、
- 焦らず
- ブレず
- 定期的に見直す
この姿勢こそが、長期資産形成を成功させる近道です。
次の記事では、この配分をどう維持するか(リバランス戦略)を詳しく解説しています。




